「年収はいくら希望ですか」
エージェントにも、面接でも必ず聞かれます。ここで「できるだけ高く」と答えてしまうと、交渉になりません。
高いほうがいいのは当たり前です。相手が知りたいのは、いくらなら来てくれるのかという具体的な数字です。この記事では、その数字を生活費から逆算して決める方法をまとめます。
なぜ「高いほうがいい」では損をするのか
自分の基準がないと、こうなります。
| 場面 | 基準がないと | 基準があると |
|---|---|---|
| 希望額を聞かれる | 今の年収を答えてしまう | 必要な額を答えられる |
| 提示額が出る | 高いのか安いのか分からない | 足りるかどうかで判断できる |
| 迷ったとき | 気分で決める | 数字で決められる |
| 断るとき | 断る理由が作れない | 足りないからと言える |
基準は、交渉の武器であると同時に、断るための根拠になります。
逆算の3ステップ
ステップ1:今の生活費を出す
まず、1か月にいくら使っているかです。細かく分けなくて構いません。
| 項目 | 例 |
|---|---|
| 家賃・住宅ローン | ◯万円 |
| 食費 | ◯万円 |
| 水道光熱費・通信費 | ◯万円 |
| 車(ローン・ガソリン・保険) | ◯万円 |
| 保険 | ◯万円 |
| その他(日用品・交際費) | ◯万円 |
通帳とクレジットカードの明細を3か月分見れば出ます。きっちり出す必要はありません。1万円単位で十分です。
ステップ2:これから増える分を足す
ここが抜けがちなところです。今の生活費だけで決めると、数年後に足りなくなります。
- ✓子どもの学費(進学の時期を書き出す)
- ✓車の買い替え
- ✓家の修繕
- ✓親の介護
- ✓貯金・老後に回す分
10年先まででいいので、ざっくり見積もります。当たらなくて構いません。分からないから決めない、が最も損です。
ステップ3:手取りから額面に戻す
ここで多くの人がつまずきます。求人票に書いてあるのは「額面」で、生活費から出した数字は「手取り」です。単位が違います。
ざっくりした目安として、手取りは額面の75〜80%程度になります(年収や家族構成、住んでいる自治体によって変わります)。
たとえば手取りで年360万円が必要なら、額面ではおよそ450〜480万円が必要という計算になります。
手取りの仕組みは工場勤務の手取りはどう決まる?に、給料から引かれるものは工場勤務の社会保険と税金の基礎にまとめました。
3つの数字を持っておく
出した数字は、1つではなく3つにします。
| 名前 | 意味 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 最低ライン | これを下回ったら生活が回らない | 断る判断に使う |
| 希望ライン | これがあれば十分にやっていける | 希望額として伝える |
| 上限ライン | ここまであれば言うことなし | 交渉の初手に使う |
伝えるときは希望ラインを言います。最低ラインは口に出しません。言った瞬間、そこが上限になります。
希望は額面480万円です。
ただ、金額だけでなく休日や通勤も含めて考えたいので、そこは相談させてください。
金額だけの話にしないのがコツです。年収が少し届かなくても、休日や通勤で取り返せることがあります。
よくある間違い:今の年収を基準にする
いちばんやりがちなのがこれです。
「今が380万だから、420万くらいで」
この考え方だと、今の会社の給与水準に一生ひきずられます。上げ幅は業界と会社の水準で決まるのであって、今の自分の額とは関係ありません。
基準にするのは今の年収ではなく、必要な額と、その業界の相場です。相場は、エージェントに聞けば教えてもらえます。
私が実際に交渉でやったこと・やらなかったことは転職で年収150万円アップした話に書きました。
決めた数字は、条件の表に入れる
出した3つの数字は、頭の中に置かないでください。譲れない条件の表に、そのまま書き込みます。
そうすると、内定が出たときに感覚ではなく数字で判断できます。足りていれば承諾、下回っていれば交渉か辞退。それだけで決まります。
まとめ
- ✓「高いほうがいい」では交渉にならない。相手が聞いているのは具体的な数字
- ✓逆算は3ステップ。今の生活費 → これから増える分 → 手取りから額面へ
- ✓手取りは額面の75〜80%が目安。求人票の数字とは単位が違う
- ✓持つ数字は最低・希望・上限の3つ。伝えるのは希望だけ。最低ラインは口に出さない
- ✓今の年収を基準にしない。基準は必要な額と業界の相場
活動中の生活費がいくら必要かは転職活動中の生活費はいくら必要?に、業界を変えて年収を上げる考え方は軸ずらし転職とは何かにまとめています。