職務経歴書を1枚作って、それを全部の会社に送っていないでしょうか。
書類が通らないとき、原因は経験の少なさではないことがあります。送っている紙が、その会社向けになっていないだけということが、けっこうあります。
この記事は、現場職・製造業の職務経歴書の書き方の応用編です。書くことが決まったあと、応募先ごとにどう変えるかをまとめます。
使い回すと、なぜ通らないのか
求人票は、どこも同じことを求めていません。
| 会社が困っていること | 欲しい人 |
|---|---|
| 設備が止まって生産が遅れる | トラブルを止められる人 |
| 段取りが属人的でバラつく | 手順を整えられる人 |
| 若手が育たず辞めていく | 教えられる人 |
同じ「設備保全15年」でも、どこを前に出すかで刺さり方がまるで変わります。1枚を全社に送るということは、3社のうち2社には的を外した紙を送っているということです。
でも、成果は増やせない
とはいえ、会社に合わせて成果を作ることはできません。書けることは、やってきたことだけです。
ここが大事なところです。変えるのは「何をしたか」ではなく、「どうやってそれをしたか」です。
| 使い回す部分 | 書き分ける部分 | |
|---|---|---|
| 職務要約 | 年数・業種 | 前に出す一言 |
| 担当業務 | 設備名・規模・台数 | 並べる順番 |
| 実績 | 数字はそのまま | どうやって出したか |
| 資格 | そのまま | — |
| 自己PR | — | 全部 |
数字と事実は動かしません。動かすのは、その周りの説明だけです。だから嘘になりません。
ひとつの成果は、複数の力で出している
「緊急停止をゼロにした」という成果があったとします。これは何の力で達成したものでしょうか。
ひとつではないはずです。
- ✓止まりそうな兆候に気づいた → 観察力
- ✓原因を突き止めた → 問題解決力
- ✓点検の手順を作り直した → 仕組みを作る力
- ✓全員に守らせた → 人を動かす力
ひとつの成果を、ひとつの力だけで出すことはありません。だから、応募先が求めている力にスポットライトを当てて書き直しても、事実は何も変わっていません。
同じ経験を3通りに書き分ける(現場職の例)
元の実績はこれ1つです。
担当設備の予防保全に取り組み、緊急停止を3年連続でゼロにした
① トラブル対応力を求めている会社へ
担当設備の停止傾向を記録し、異音・温度上昇の段階で交換判断をする運用に変更。緊急停止を3年連続ゼロに抑えました。
② 段取り・仕組みづくりを求めている会社へ
属人的だった点検を見直し、チェック項目と交換周期を一覧化した点検表を整備。誰が担当しても同じ精度になる状態を作り、緊急停止を3年連続ゼロにしました。
③ 人の育成を求めている会社へ
若手3名に点検の判断基準を指導し、自分がいない日でも同じ対応ができる体制を作りました。結果として緊急停止は3年連続ゼロです。
3つとも、やったことは同じです。数字も同じです。前に出す部分を変えただけで、読む側の受け取り方が変わります。
求人票のどこを見て決めるか
書き分けるといっても、勘で決める必要はありません。求人票の3か所を見れば分かります。
| 見る場所 | 何が分かるか |
|---|---|
| 仕事内容の1行目 | いちばんやってほしいこと |
| 歓迎する経験・スキル | あれば嬉しいこと。ここに合わせると差がつく |
| 募集背景 | なぜ人を採るのか(増員か、欠員か、立ち上げか) |
とくに募集背景です。「増員」なら仕事が増えていて回す人が欲しい。「欠員補充」なら前任者と同じことができる人が欲しい。「新ラインの立ち上げ」なら一から作れる人が欲しい。
書いていなければ、エージェントに聞いてください。担当者は企業から聞いています。
何枚作ればいいのか
全部の会社に1枚ずつ作るのは、在職中には現実的ではありません。会社ごとではなく、タイプごとに作ります。
| タイプ | 前に出すもの |
|---|---|
| A:現場で手を動かす仕事 | 対応力・経験の幅 |
| B:管理・改善が中心の仕事 | 仕組みづくり・数字の改善 |
| C:教える・まとめる仕事 | 指導・チームでの動き |
この3枚を作っておけば、あとは会社名と数行を差し替えるだけで済みます。最初の1枚さえできれば、2枚目は30分もかかりません。
書き分けは、面接でもそのまま効きます
書いたことは、面接で必ず聞かれます。「この点検表を整備されたそうですが」という形で入ってきます。
つまり、応募先ごとに書き分けておくと、その会社が聞きたいことを、こちらから先に用意している状態になります。面接で答えに詰まる場面が減ります。
面接での答え方は面接で「なぜ転職するのか」を聞かれたときの答え方にまとめました。
やってはいけないこと
- ✓やっていないことを書く(面接で必ず崩れます)
- ✓数字を会社ごとに変える(事実は1つです)
- ✓全部の力を1枚に詰め込む(焦点がぼけて、何もない紙になります)
私の場合
私は資格がなく、業界も職種も変えた転職でした。それでも通ったのは、経験をそのまま書かずに、応募先の言葉に言い換えたからだと思っています。
機械のメンテナンス経験を、そのまま「メンテナンスをしていました」とは書きませんでした。「製造設備への深い理解」という形で伝えています。やったことは同じですが、伝わり方はまるで違いました。
そして、一人で完成させていません。エージェントの添削で5回以上書き直しました。書き分けの精度は、自分だけでは上がりません。担当者は、その会社が何を求めているかを知っています。
書き分けた結果がどうなったかは転職で年収150万円アップした話に書きました。
まとめ
- ✓求人票はどこも同じことを求めていない。1枚を全社に送ると、大半は的を外す
- ✓変えるのは「何をしたか」ではなく「どうやってしたか」。数字と事実は動かさない
- ✓ひとつの成果は複数の力で出している。だから書き分けても嘘にならない
- ✓決め手は求人票の仕事内容の1行目・歓迎要件・募集背景の3か所
- ✓会社ごとではなくタイプごとに3枚。2枚目からは30分で作れる
- ✓書き分けは面接でもそのまま効く
自己PRで何を強みにすればいいか迷ったら、現場系・技術系が自己PRで使える強みもあわせてどうぞ。